この話題は避ける方が平和に過ごせるのですが、誤解による批判がとあるSNSで目に入ったので、私が認識している事と自身の考えをまとめていこうと思います。
なお、今回の批判内容~私の山取りに関する意見の部分はあくまでも富貴蘭(風蘭)について言及するものであり、他の保護対象種については言及していません。
批判を要約すると「風蘭は現在(2024.12)絶滅危惧Ⅱ類であり、さらに保護されている地域もあるため、山取りは違法行為である」という内容です。
全く富貴蘭を知らない方もいると思いますので説明すると、風蘭の園芸種が富貴蘭です(厳密には登録された品種云々の条件があるとも聞きます)。
・園芸種というのは花の色や葉の模様などにおいて、突然変異を起こし特異的な特徴を有するものです。
・山取りというのは、自然採集をするという事です。
富貴蘭の多くの品種は元を辿れば、自然界から採取した個体になります。現在はタネから育てる実生の品種も増えていますが、基本的には山取りまたは山取りした株から脈々と増やし受け継がれたものです。増やしたものであれ、元を辿れば野生個体ということです。
今回の批判をしている方が想定しているのは、おそろく「自然から採取してすぐの個体」だとは思います。
さて、ここで正しく理解しなければならないのが
・絶滅危惧種=採取は違法 ではない
という点です。これは多くの方が誤解しています。
絶滅危惧種(レッドリスト掲載種)というのは、あくまでも絶滅の恐れがある生物の生息状況や減少原因をまとめたものです。
なので、採集を禁止する法律はありません。
採集を禁止されるのは
・国内希少野生動植物種(種の保存法)
・天然記念物(文化財保護法)
などで
これについては違法になります。しかし風蘭は上記には当てはまりません(2024.12現在)。
そのため、絶滅危惧種だから違法とはならないのです。
次に土地的な意味で採取が違法という意味合いも含まれていると思います。
当たり前ですが、基本的に自分の土地であれば違法ではありません。条例などの兼ね合いも出てくるのかもしれませんが、全国的に見てあらゆる地域での全ての採取活動が違法とは言えないのです。
採集が禁止される地域でよく話題にあがるのが、国立公園です。
国立公園=採取禁止とされることが多いですが、大方合っていると思いますが正確ではありません。
国立公園は普通地域・特別地域・特別保護地区に分けられます。
・普通地域:採取に許可は不要
・特別地域:環境大臣が指定した「指定種」の採取は禁止(許可が必要)
・特別保護地区:基本全て採取禁止(許可が必要)
なので、普通地域であれば採取できるのです。
と言いたいところですが、普通地域であっても国有林の場合があります。
全国的にどうなのかは分かりませんが、私のまわりの森を見た場合は普通地域と国有林が被っています。
国有林は採取禁止です(許可が必要)。
また天然記念物の地域指定を受けていれば、それについても採取禁止になります。
つまり、国立公園でも普通地域では採取可能であるが、国有林や天然記念物(地域指定)と被れば採取に許可がいるのです。
「えっ、国有林で山菜とってた・・・」
と思った方もいると思います。大丈夫です。
基本的には個人が消費する山菜については地域文化の兼ね合いから、国有林管理者(森林管理局)で目をつむられます。←あくまでも見逃してもらっている状況です。
業者の場合はどのくらいの量を取るのか申請して、採取活動をしています(そのはずです)。
ただ、希少な野生動植物になるとそうは言えません。
こういった植物の採取許可は、研究者またはそれ関連の業務に携わる人にしか認められません。
では、風蘭に話を戻すと違法な採取がされているのかと言えば、「されているケースもあれば、されていないケースもある」という事になります。
なので、批判コメントを私なりに変えるのであれば
「風蘭は現在絶滅危惧Ⅱ類であり、さらに保護されている地域もあるため、山取りは違法行為である」
↓
「風蘭は絶滅危惧種Ⅱ類で自然保護の観点から採取を控えるべき対象であり、山取りの中には違法な採取が行われているケースがある」
という書き方がフェアな姿勢だと考えます。
自然を守りたい気持ちから違法部分を強調しすぎて、全てを一括りに違法と断ずる言葉をよく目にしますが過剰過激思想と捉えられかねません。
もちろん、上記の法律については私が知る範囲の表面上に出てくるルールでの話ですので、もしかしたらより深く調べると私自身が誤解している部分もあるかも知れません。
しかし、言い変え部分については間違ったことは言っていないはずです。
という点を踏まえて山取り問題難しいですね。
以前は山取りと言って枝ごとヤフオクで売っているのも見ましたが、最近はヤフオクも規制が入ってそれなりに売りづらくはなっていると思います(風蘭ではありませんが、抜け穴出品は残念ながら目にします)。
あくまでも違法性のない山取り(許可を得た私有地または自分の土地)を前提に、絶滅危惧種採取への私の意見は、台風などでボトッと落ちている分には良いのではないかと思います。
ただ着生しているのを引っぺがして、変異が起きていないかチェックして、普通だったらイラナイ、ポイッは自然保護の観点では良くないかなぁと思います。
富貴蘭文化がほぼない北海道民なので、そんなことをする人がいるのかは知りませんが、今の時代野生生物を大切にしないといけないとは思っております。
とはいえ、完全にその人の土地であれば、それは他人が口をはさむ事ではないです。
私も学生の頃はゲンゴロウを採集したり、珍しい昆虫を探して回っていましたし、川でガサゴソもしました。子供の頃は二ホンザリガニを採って遊んだり。
今ほどではないかも知れませんが、その当時でも十分希少でした。
散々自分はやっておいて落ち着いたら、今度は保護だなんだというのもフェアじゃないような気がします。
保護は重要だと思いますが、声高く「保護すべきだ!採るな!違法だ!」なんて言える立場ではありません。
最後になりますが、採取などの許可に関係することで私が気になっていることを書きます。
許可は基本的には研究目的の場合におります。私も学生の頃は、大学で許可を取ってもらい特別保護区内で採取活動をしていました。もちろん、所詮Fラン大学ながらも卒業論文にしています。
他にもそういった学生は大勢いましたが、基本的には皆生き物が好きな訳です。
やりたい事が分からなく先輩の引継ぎ、教授の指示で研究していた学生は別として、基本的には好きだからその研究をするのです。
そうなると、採取活動をするために研究しているような状態になる人もいます。
つまり、「目的のための採取」ではなく、「採集のための目的」になるのです。
もちろん、ちゃんとした研究者はそんな趣味のような研究では食べていけませんので、テーマを吟味する必要がありますが、学生はお金を払う側ですので・・・。
全ての研究者(プロ、アマ、学生含めて)がこうであるとは言いませんが、保護が大切と口では言いながら、研究対象外の植生を踏み荒らし、関係ない生物の標本を作ったり、ちょろまかしたりするのを見ると、所詮は今ある自然を独り占めしたいだけなのではないかとすら思ってしまいます。
私が行っていた大学で、非常に有名な方の関係者が先生をしているゼミがありました。授業中にもあのペット店は俺が潰してやった、素人が野生生物を飼うなみたいな事を声高にいう変わり者の先生です。しかし、そこの研究室には研究しているのかいないのか、ただ飼われているだけのペット化した野生生物がいましたし、上記のような行動をする学生もいました。
素人が~と言っていますが、素人の私から見ても素人の飼育です。ハッキリ言って下手です。
そういった学生の中にはちゃんと立派な活動家になり、保護に励んでいる人もいます。
あくまで私の狭い人間関係の中ですが、そういったものを見ていますし、私も似たようなものでしたので、私自身はどこまでいっても「自然から採取すること(山取り)は、やめるべき」とは言えないです。
言えるとすれば、「持続可能かよく考えて、次の世代もその趣味を続けられるように行動したい」くらいです。
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